アイデアをカタチに。
『こどもの視展』制作からみえた
仕事の面白さ。

  • 大野新卒3年目
  • 石橋新卒6年目
2023年3月1日時点

伊藤忠商事株式会社が運営する「ITOCHU SDGs STUDIO」で開催された、こども視点での体験を通して、こどもとの暮らしや社会の在り方について考える体験型展示『こどもの視展』。電通ライブはデザイン・設計施工に携わりました。各種メディアで大きな話題となり、多くの来場者が訪れたこの展示は、いかにして生まれたのでしょうか。メンバーの石橋、大野に話を聞きました。

“こどもになって世界を見る体験型展示”
というアイデアをカタチにする

−『こどもの視展』の展示概要と、企画の経緯を教えてください。

石橋

『こどもの視展』は、「こどもになって世界を見る体験」を通して、こどもとの暮らしや社会の在り方について考えるきっかけを提供する体験型展示です。具体的には、こどもにとっての「頭の重さ」「泣くしかできない会話」「朝食の大きさ」「時間の流れ方」「怒っている大人の見え方」「重すぎるランドセル」の6つの視点を体験できるコーナーを用意しました。

もともと、こどもの当事者視点とはどんなものかを真面目かつ楽しく研究している電通のラボ「こどもの視点ラボ」で、大人が赤ちゃんにとっての頭の重さを体感できる「ベイビーヘッド」や、大人が2歳児の手のひらの小ささを体感できるコップや牛乳作ってみたりしていて、電通ライブも制作に協力していました。さまざまな切り口で面白いコンテンツがどんどん増えていく中で、もっと多くの人に体験してもらえる機会をつくりたい、という思いから生まれたのが今回の展示です。

「ベイビーボイス」…何を話しても泣き声に
変換される“ベイビーボイス”の体験展示
「2歳の朝食」…すべてが大人の約2倍サイズ!
こどもたちの大変さを体験
「いとちゃんの30分」…こどもが30~40分の間に
動き回る様子が撮影された写真。
こどもにとって
1日の「できごと」が大人より圧倒的に多いことを
可視化。
「4mの大人たち」…怒っている大人の見え方をVR映像で体験!
「大人ランドセル」…重すぎるランドセルを
大人サイズに換算して再現。
大野

そこで、電通ライブが各企画のデザイン・施工に携わっている「ITOCHU SDGs STUDIO」で体験型展示を開催しようという話になったのです。

−具体的に、電通ライブはどのような作業を担当したのですか?

石橋

ひと言で言えば、「アイデアをカタチにする仕事」です。ラボが思い描いているアイデアがたくさんあり、すでに作ったものもある中で、それを展示イベントのコンテンツとしてどう実現させるかを考えて、実際にカタチにする作業を担当しました。例えば、今回の展示ではこどもが来場することを想定して安全性に配慮しながらレイアウトや展示物、什器などを考える必要があります。同時に、どうすれば来場者の方々に面白さや新しい発見を提供できるか?という体験設計も考慮しながら、コンテンツを最適化していきました。

−安全性や体験設計について、工夫したエピソードをいくつか教えてください。

大野

ラボでは大人が小学一年生にとってのランドセルの重さを体感できる18.9kgの大きなランドセルを作ったのですが、実際に背負ってもらう時に、落としたり転倒したりすると危険です。そこで、展示する際の見え方と背負う際の安全面のどちらにも配慮した什器を、施工会社の方と一緒に考えて作りました。

それから、赤ちゃんの頭の大きさを体感できるベイビーヘッドのコーナーは、企画制作の段階では会場の壁際に配置することを想定していたのですが、いざ設営してみると空間全体としてのインパクトがやや弱いと感じたので、ベイビーヘッドを入口正面、「こどもの視展」というロゴの下に移動させました。ベイビーヘッドとのツーショット写真をSNSに投稿する来場者の方がとても多かったので、結果的にロゴや会場全体の雰囲気がフレームに収まった“映える”写真を多くの方に拡散してもらえました。

「ベイビーヘッド」…赤ちゃんの頭は、大人に換算すると約21kg!
それを実際に体験するために作られました。

予想以上の反響で備品が不足。
何度も会場に足を運び、臨機応変に対応することも

−大変だったことはありますか?

大野

ありがたいことに当初の想定をはるかに上回る人数が来場されたことや、お子さんがたくさん訪れる展示だったこともあって、備品が足りなくなったり故障することが頻繁にありました。各所と連携を取りながら臨機応変に対応することが多かったので、会期中は週に何回も会場に足を運ぶ必要があったことが、体力的にけっこう大変でした。

石橋

アイデアをカタチにしていく過程で、ラボのメンバーだけでなくデザイン会社や施工会社、施設の運営会社など、さまざまな関係者と意見を交わしながら連携していく必要があります。大前提として「良いものを作りたい」という共通認識はあるのですが、スケジュールの締切が決まっている中でどこまで実現できるか?どのようなやり方ならできるのか?という細かな認識のすり合わせは、プロジェクトに関わる人数が多いほど大変です。そこを自分が妥協せずに頑張るほど質の高いアウトプットになるので、この仕事の魅力でもあるんですけどね。

−来場者の方の反応 はどうでしたか?

大野

今回は特にSNSの反響がすごくて、この展示をきっかけに「ITOCHU SDGs STUDIO 」のことを知った方も多かったようなので、コンテンツのパワーを感じましたね。

石橋

テレビのパワーも実感しましたよね(笑)。

大野

そう、テレビ取材があったのですが、その反響はすさまじかったです。実際にラボと電通ライブのメンバーで大人ランドセルや2歳の朝食セットをテレビ局まで搬入して、スタジオにいるタレントさんに体験してもらいました。最初は番組のオープニング付近に登場する予定だったのですが、急きょエンディング前に変更となり、2時間ぐらい楽屋で待機することに(笑)。それも大変といえば大変でしたが、貴重な経験をさせてもらえました。

自分たちが作ったもので、
世の中に新しい気付きを発信できる

−今回のプロジェクトを振り返ってみて、電通ライブの仕事のやりがいはどこにあると思いますか

石橋

終わった時の達成感や、来場者の方々が楽しんでいる姿を見ると、やって良かったなって思います。自分たちが作ったもので世の中に新しい気づきや発見を発信できることは、とてもやりがいのある仕事だと思いました。

大野

分かります。「こどもってこんなに重いものを持っているんだ」「こんな視点でものごとを見ているんだ」という新しい発見を、来場者の方々に感じてもらえたのはすごく嬉しいですよね。

石橋

そうそう。SNSやメディアの反響も大きかったのですが、“場”があるからこそ、実際に来場者が体験している時の反応も見れます。なんていうか、「人が見える」のが素敵だなって思います。

大野

私は「人を笑顔にしたい」という夢を抱えて電通ライブに入社したのですが、今回はまさしく人の笑顔をたくさん見ることができたプロジェクトでした。「あ、私はこのために仕事をしているんだ」と実感できました。

−今後、どんなことにチャレンジしていきたいですか?

石橋

僕は学生時代に建築系を学んでいたので、街や地域に長く残り続けるものを作る仕事にいつか挑戦できたら嬉しいです。入社前はイベントを作る仕事が多いのかなと思っていたのですが、実はまちづくりの構想に携わるプロジェクトなどもあって、仕事のバリエーションは本当に幅広いので、いろんなことにチャレンジしながら興味のあるテーマに携わりたいと思っています

大野

『こどもの視展』で「人を笑顔にしたい」という目標は少し達成できたのですが、もっとたくさんの笑顔を見たいと改めて強く思いました。しかも、今回のように人の心を良い方向にちょっと動かして、笑顔になってもらう。そんなことにチャレンジしていきたいと思います。

−最後に、電通ライブを目指す学生さんに向けてメッセージをお願いします。

石橋

電通ライブの仕事は一人で完結するものではなく、みんなで力を合わせて一つの目標を達成していく仕事です。言葉を選ばずにいえば、文化祭が終わった時の達成感や高揚感が大好きな人は、電通ライブの仕事も楽しめると思います。この話を聞いてピンと来た方、ぜひ一緒に働きましょう!

大野

“人”と関わるのが好きな方、お待ちしています!