電通ライブの社内プロジェクトとは。
「サステナビリティPJ」に話を聞いてみた。

  • 鈴木新卒4年目
  • 松野中途12年目
2023年3月1日時点

電通ライブでは、たくさんの社内プロジェクトが活発に動いています。同じ興味関心を持つ社員同士で集まり、部署の垣根を超えて活動する社内プロジェクト。
今回は、SDGsに興味を持つ社員が集い推進している、社内プロジェクト「サステナビリティPJ」についてご紹介します。2022年12月には、電通と共同で、イベント業界でのサステナビリティ促進を目指し、その指針となる「サステナビリティに配慮したイベントガイドライン(環境編)」を公開しました。プロジェクトにかける思いや今後の展望を、メンバーの松野、鈴木に聞きました。

イベント業界のリーディングカンパニーとして、
持続可能なイベントのあり方を普及させる

−2022年に『サステナビリティに配慮したイベントガイドライン(環境編)』がリリースされました。これはどのようなガイドラインなのでしょうか?

松野

近年、さまざまな領域でサステナビリティに対する関心が高まっていますが、イベント業界においてもサステナビリティへの配慮が求められています。そこで、電通ジャパンが取り組むサステナビリティに関するプロジェクトの一環として、電通ライブの社内プロジェクト「サステナビリティPJ」が主導で制作したのが本ガイドラインです。

第1弾となる環境編では、環境に配慮したイベントの企画・制作フローや、イベント制作フェーズごとに実行すべきアクションのチェックリストを掲載。電通ライブが培ってきた知見・経験を生かしつつ、東京都市大学 伊坪徳宏研究室やパートナー企業にもご協力いただきながら作成しました。

−サステナビリティに関して、イベント業界ではどんな課題があるのでしょうか?

松野

まず、業界問わずサステナビリティに取り組むことが当たり前になりつつある世の中で、イベント業界、とりわけ国内のイベント業界のサステナビリティ対応は遅れていると言われています。私たちも海外のイベントや国際的なイベントに携わらせていただく中で、例えばパビリオンが廃材で作られていたり、例えば音楽イベントでは観客の熱気や足踏みで電力発電したり、購入チケット1枚につき植林を1本したりと、先進的な取り組みを間近に見てきました。一方、国内のイベント関連企業からは、サステナビリティの重要性は理解しているものの何から取り組めば良いのか分からないという声も多くありました。当然、サステナビリティに配慮した取り組みは1社だけで実現できることは限られますので、イベント業界をリードする立場として、他社を巻き込みながら、組織の枠組みを超えて一緒に業界を変えていきたいという思いから、今回のガイドライン作成に至りました。

−具体的に、どのようなプロセスでガイドラインを作成したのですか?

鈴木

サステナビリティの領域はとても広いので、いきなり全てを網羅することは難しいですし、イベント業界と直接的な関わりが薄いテーマもあります。そこで、取り扱う領域を絞ることからはじめました。やはりイベントは廃棄量やCO2排出量など環境負荷が大きな課題とされているので、まずは環境編としてまとめることにしました。ただし、環境だけでも幅広いテーマがあるので、国内外の事例もリサーチしながらベースとなる資料を作り、外部の方々の意見も参考にしながら詳細を詰めていきました。

松野

また、チェックリストに関しては難易度を2種類に分けて、努力すれば自社だけも実現できる項目と、他社と協力あるいは費用をかけて取り組まないと実現が難しい項目を整理しています。

ガイドライン作成をきっかけに、
社内外の意見交換が活性化

−社内プロジェクトに取り組むことで、社内外にどのような変化が生まれていますか?

松野

まだスタートしたばかりではありますが、業界全体を巻き込むプロジェクトとして徐々に他社とのつながりも増えています。それこそ、競合企業であっても、イベントの価値や素晴らしさを信じる仲間として、一緒に手を取り合うような空気感が生まれつつあるように感じます。実際に協議会のようなものを立ち上げてイベント・スペース関連企業と意見交換をしたり、イベント産業振興協会とも連携して啓発活動を進めています。

鈴木

社内からも「参考になる事例を教えてほしい」「具体的なソリューションを知りたい」といった声が届くようになりました。これまでも個人やチームでサステナビリティに関して意識していたところもあるかとは思うのですが、ガイドラインを作ったことで会社として目指す方向性をはっきりと可視化できたのではないかと思います。

−プロジェクトを進める中で、苦労したことや見えてきた課題はありますか?

松野

まだサステナビリティへの取り組みが社内に浸透していないので、同じメッセージを全社員が発信できる水準に持っていく必要があります。とはいえ、なかなか忙しくてサステナビリティ対応に取り組む余裕がない人もいるのが実情なので、どのように普及させていくかが難しいところですね。

現場レベルで考えると、環境負荷への配慮とクリエーティビティをどう両立させるかも大きな課題です。例えば、素材を循環できるものに絞り込んでいくと、形や寸法などの自由度が失われてしまい、デザイン性を発揮するのが難しくなりますが、それでも100%循環素材を使うことを目指すべきだと思います。毎年やっているイベントであれば現状の廃棄量を算出して「来年は○%削減しよう」と段階的に環境負荷を低減するためのKPIを設定したり、制限がある中でもクリエーティビティを追求する方法を考えたりと、私たちも含めて業界各社で試行錯誤していく必要があると思っています。

−ちなみに、電通ライブにはさまざまな社内プロジェクトがありますが、その魅力ってなんでしょう?

鈴木

私はこのプロジェクト以外にもいくつか社内プロジェクトに参加しているのですが、社内の人脈が広がるため、通常の案件では一緒に仕事をする機会がない先輩とも仲良くなれるのが良いなと思います。社内メンバーのみなので自由に発言もしやすいです。

松野

私は関西支社に在籍しているのですが、こうした社内プロジェクトに主体性を持って参加することで、部署の垣根を越えたコミュニケーションも活発になり、社としては一体感が醸成できますし、個人としては、いろんな人からの刺激を受けることでモチベーションも向上します。総じてポジティブな側面が多く、働きやすさにも繋がっていると思います!

リアルの価値を信じているからこそ、
イベント業界全体で意識を変えていきたい

−今後、「サステナビリティPJ」で取り組んでいきたいことを教えてください。

松野

まずは環境編のガイドラインを起点に、案件受注に貢献していく機会を増やしたいのと、ダイバーシティ編や安全・衛生編など、環境以外のテーマでもガイドライン制作を進めていきたいと思います。また、企業のサステナビリティ活動はビジネスとして成り立たないと継続できないと考えているので、新しいビジネスモデルを作ることにもチャレンジしたいです。

鈴木

このガイドラインをより多くの人に届けることで、サステナビリティについて理解するきっかけを作れたら良いなと思っています。サステナビリティという言葉を聞くとハードルが高く感じるかもしれませんが、例えば打ち合わせに使う資料を紙ではなくデータで配布することも取り組みの一つですし、そういった取り組みをきっかけに会話が生まれることも大切だと思います。イベント業界全体で、まずはサステナビリティへの関心を高めていくことに貢献したいです。

松野

そうですね。我々はイベント・スペース含め、リアルの価値を信じているからこそ、今後も存続してくために業界全体で意識を変えていく必要があると思っています。まずは小さなことからでも取り組むことが大事なので、業界を代表するつもりで率先してやっていきたいですね。

−最後に、電通ライブを目指す学生さんに向けて、今のうちに経験したほうがいいことを教えてください。

鈴木

趣味でも良いので興味があることをいくつか深掘りしておくと、その経験が仕事に生かせる時がやってくるかもしれません。実際、興味があることへのアンテナを生かして仕事をしている社員もたくさんいます。電通ライブの仕事の領域はとても広いので、熱中できるような趣味や物事があると、仕事も楽しめると思います。

松野

そうですね、学生時代にいろいろ経験したり見たりしたことは、後々生きてくるんですよね。リアルでもバーチャルでも良いので、心が動かされるような原体験に出会えると、それが自分にとっての引き出しというか礎になるので、いろんな場所や場面に足を運ぶのが良いと思います!