電通ライブはどんな会社で、どこに向かっていくのか?経営に携わる執行役員、チーム・組織をまとめるマネジメント層、現場で活躍する中堅社員と、年次や役職の異なる3人に電通ライブのイマについてホンネで語り合ってもらいました。
リアルの価値が高まる中、電通グループのネットワークを活かして多種多様な案件に挑戦できる
−はじめに簡単な経歴と現在のお仕事を教えてください。
専務執行役員の中邨です。1992年に電通へ入社し、2021年に電通ライブへ出向・転籍しました。電通時代から約35年、一貫してイベント・スペース領域や開発領域を担当しています。またHRM(Human Resource Manager)という人材育成や組織開発の仕事にも長らく携わり、現在もその経験を生かしながら役員業務を行っています。
チーフ・プロデューサーの山田です。私は2004年に電通テック(現 電通プロモーションプラス)に入社後、イベント・スペースに関わる部門で仕事をしてきました。電通ライブに転籍したのは2017年で、漫画、アニメ、ゲーム、映画、音楽、伝統芸能など、ライブ・エンターテインメント領域のコンテンツやイベントの企画・プロデュースに携わっています。
2018年入社の三浦です。ストラテジーデザイン部でプランニングの仕事をしています。現在はラグジュアリーブランドなどのイベント・展示会に携わっていて、企画から制作、イベント実施後の報告書作成まで一気通貫で担当しています。
−皆さんに最初にお聞きしたいのは、「イベント・スペース領域の最近の動向」です。ここ数年で感じる変化をそれぞれの立場から教えてください。
これはぜひお二人の意見も聞きたいんだけど、コロナ禍が落ち着いて日常を取り戻しつつある中で、我々のビジネスの中心であるリアル領域は、コロナ禍以前に増して価値が高まってきていますよね。クライアントからのニーズの高まりはもちろん、社会的にも非常に重要な役割を担わせていただいているな、と日々感じています。
分かります。コロナ禍以前は「モノからコトへ」というリアルの体験が流行り過ぎて、ちょっと飽和気味だったところもあると思うんです。それがコロナ禍で一気に失われ、「やっぱり会えないってつらいな」「リアルでしか伝わらないことがあるな」ということを世の中が改めて実感したからこそ、生活者もクライアントもリアルでしか得られない価値を求めているような気がします。
ここ数年でデジタル領域が加速度的に進展し、私自身もデジタルコンテンツをプロデュースする機会が増えました。もちろん、デジタルで完結することの良さもあります。例えば、メタバース空間に世界中の人たちが集まってアニメの最終話を一緒に視聴するという体験は、リアルではなかなか作れないですよね。その一方で、デジタルとリアルを融合させた体験も増えていく中で、改めてリアルならではの熱量の高さを感じています。
デジタルと比べるとリアルは効率や規模などにさまざまな制約がありますが、やはりそこで体験した人の心を動かす力や、みんなの熱量があちこちに伝播していく力が、素晴らしい価値の一つなんじゃないかなと思うんです。我々はデジタルもうまく活用しながら、そういった価値を提供し続けていくことが重要ですよね。
−そのような状況の中で、電通ライブならではの強みや他社との違いをどう捉えていますか?
イベント・スペース領域の市場規模は今後も拡大していくことが予想されていますが、従来の広告会社やイベント制作会社、ディスプレイ会社などに加えて、印刷会社や旅行代理店もイベント関連の新規事業を立ち上げるなど、業界の垣根を越えてさまざまな企業がこの領域に参入しています。その中で電通ライブの他社にはない優位性の一つは、電通グループの一員であることだと思っています。電通グループには日本全国のあらゆる企業や自治体との関係性があり、国内のみならず世界中の企業とのつながりを持っています。そのような膨大なネットワークから、リアルを起点とした多種多様なプロジェクトにチャレンジできるのは大きな魅力ですよね。
そうですね。電通グループ内のネットワークだけでなく、その先にいるさまざまな領域のプロフェッショナルな方々を頼ったり、逆に頼られたりしながら、クライアントや社会の課題解決に取り組めるのは非常に恵まれた環境だと思っています。それがあるから、自分たちだけでは解決できないような難題にも思い切ってチャレンジできるのかなと。
それこそ、電通グループ内で同じクライアントの案件を担当している部門と連携したり、親和性の高い案件をやっている人とコラボを検討したりと、単独の会社だと限りがあるかもしれない打ち手や相談先が無数にあるイメージです。それはクライアントにとっても安心感やクオリティへの信頼感につながっているのかなと感じています。
電通グループの仲間たちが持っている、ありとあらゆる知見・ノウハウを頼ることができる。もちろん、それらを組み合わせて体験を設計する力が求められるし、私たちも電通グループの仲間に頼ってもらえるように技術や知見を高め続ける必要がありますが、そうすることで他社にはなかなか真似できない力が蓄積されているような気がします。
心が動く瞬間をつくるのが、電通ライブの仕事
−電通ライブの企業理念「“未来の原動力”づくり」「MOMENT OF TRUTH」を、3人はそれぞれどんなふうに捉えていますか?
あくまでも個人的な意見なのですが、成熟した大人が自分の行動や理念をガラッと変えるのってけっこう難しいと思うんです。でも、心が動くほどの体験に直面すると、その人の行動や理念が変わるきっかけになることもある。ただ単にコンセプトやメッセージを伝えるだけではなくて、心の底から感動する体験や、心が動く瞬間にまで昇華させるのが私たちの仕事であり、それを体現しているのが企業理念なのかなって思っていました。
そう捉えてもらえているのが、経営陣としてはすごく嬉しいです(笑)。私たちの仕事はクライアントの先にいるお客様や生活者の心を動かす“きっかけづくり”だと思っています。成果物を納品することやイベントを実施することがゴールではなく、クライアントのブランドや商品・サービスをお届けする体験を通して、受け手の行動や気持ちを変えるところまでやり切ることが大切なんです。
「MOMENT OF TRUTH」は送り手側が何かを発表する瞬間や、演出の中の一瞬という意味もあれば、受け手側が感動した瞬間や一体感が生まれた瞬間など、いろんな人の瞬間を表す良い言葉だなって思っています。新しく生まれた「“未来の原動力”づくり」のほうは、まだピンと来ていないところもあります…(笑)。
正直で良いですね(笑)。私は「“未来の原動力”づくり」を、より良い未来をつくるために微力ながら、お役に立つことだと捉えています。電通ライブの技術やノウハウは、必ずしも華やかな舞台だけではなく、災害などの社会的なリスクが起こったときにも必ず活きると思うんです。人の動線を設計する力や、アテンションを促すサインの作り方、行動や気持ちを変える体験を設計する力なんかもそうです。実際にコロナ禍でリアルイベントの企画・実施の指針となる「新型コロナウイルス対策マニュアル」を公開したり、サステナビリティやDE&Iに配慮したイベントの実現に向けた「みんなのイベント・ガイドライン」を策定するなど、より良い未来をつくるための活動に注力しています。何年か経ったときに振り返って「あの時、あれがあったから今があるんだ」と思えるような、“未来の原動力”をつくる気持ちで仕事と向き合っていきたいですね。
−これから電通ライブをどういう会社にしていきたいですか?課題も含めて皆さんの意見をお聞かせください。
電通ライブは映像・照明・音響・展示などの領域を束ねるだけではなく、最先端のデジタル技術や、前後の広報PR活動、実施後の分析など、そういった領域も含めてあらゆる専門会社の人たちを束ねていく、まさにリアルを中心としたプロデュース会社であるべきだと思っています。それを実現するためには、それぞれの専門領域のプロフェッショナルの方々と常にコミュニケーションを取り、その人たちの技術まではたどり着かなくとも、その人たちがどういうものを考えているのか、どういうチャレンジをしようとしているのか、常に耳を傾けないといけません。私たちの仕事は常に“人と人”との関係性の中で進んでいくので、コミュニケーションを大事にする会社であり続けたいなと考えています。
おっしゃるとおり、いろんな専門会社の人たちと話す機会がとても多いので、ともすれば広く浅いみたいな表現になってしまうかもしれないのですが、“ジェネラルであり続ける”こと、さらにそれらの情報を常にアップデートする意識を持つことが、電通ライブらしくあり続ける上でとても重要だと思っています。
そうですね。だからこそ、謙虚さを大切にする会社でありたいなと思います。知らないことは勉強してきますとか、仲間を探してきますとか、そういうことをちゃんと誠実にやり続けることが大事ですよね。
また少し違った視点になるかもしれないのですが、全員がどこか尖り続けることも忘れてはいけないと感じています。どうしても経験を積み重ねるほど丸くなりがちなのですが、常に自分が好きなことや熱狂できることを追求し続けて、プロジェクトの中に少しでもオリジナリティやアイデンティティをちゃんと残せることが他にはない価値の創出につながるのかなと。
それは良い視点ですね。私は電通ライブを約500人のタレント集団だと捉えていて、本当に“全員アーティスト”ぐらいの気持ちで向き合っているんです。やっぱりリアル領域って個性がすごく重要なんですよ。もちろん、イベントはある意味“一つの番組”として成立しないといけないので、時にはひな壇の中で脇役に回ってもらったり、リーダーが描いた脚本にチームの一員として参画してもらったりすることはあります。でも、一人ひとりの個性はちゃんとあって、本番に向かうまでの間にそれぞれの意見がぶつかり合いながら、より良いシナリオが描かれていく。そういう個性が活きるプロデューサー集団でないと、世の中を感動させたり、共感してもらったりすることって、なかなかできないんですよ。そのためには、一人ひとりのタレント感覚というか、アーティスト感覚みたいなものがすごく大事なんじゃないかなと思っています。
責任感と他者へのリスペクトが根付いている会社
−電通ライブに根付いていると感じる社風とスピリットについて教えてください。
フラットで柔らかい会社だなっていうのは常々思っていて。クライアントや協力会社の方からも「そのラフさで承認を取れたり、役職関係なくフラットに話せたりするのは羨ましい」とよく言われます。もちろん、立場や役職に対するリスペクトを持った上での行動なんですけど、先輩や役員と下の名前で呼び合う姿を見て驚かれる外部の方はけっこう多いです。
確かに、経営陣と会話をするときもけっこうフラットに話すというか、あまり余計なことは考えずに話したいことを話せている気がします。逆に中邨さんは社員と話すときに意識していることはあるんですか?
一番意識しているのは、フェアであることですね。全員に対して公平に、ニュートラルに接するように心がけています。それこそ、関係性によってニックネームで呼ぶ人もいれば下の名前で呼ぶ人、上の名前で呼ぶ人もいるけれど、エコ贔屓はしていません。それから、カジュアルさ。役員だからといってコミュニケーションの敷居が高くならないようにしています。
若い人の意見にも耳を傾けてくれる印象があります。
そうですね。上位下達で経営陣の言うことに従うのではなく、若手、中堅、ベテラン問わず社員全員がアイデアを出し合い、フラットに吸い上げて実践していくことが大切です。今はものすごい勢いで時代が変化しているので、常に自分の意識をアップデートしていかないとその変化にはついていけません。そのためには年齢問わずリスペクトを持って相手の意見を謙虚に聞くべきだし、意見を出し合える会社でありたいと思っています。
実際、HR(Human Resource)の取り組みの一つとして、All On All(AOA)という活動を始めています。一対一で対話をするOne on Oneはよく聞くと思いますが、AOAは社員全員で対話しながら会社のことを考えていく活動です。全員から意見を募った上で、今すぐ実行できること・継続的に議論すべきこと・すぐには実行できないこと、をオープンに見える化していく。それによって、もっともっと風通しの良い組織にしていきたいと考えています。
また、キャリアに対する考え方も人それぞれです。多様な社員がいるからこそ、「社員ひとりひとりのシアワセ」の実現を、試行錯誤しながらでも、目指していきたいと思っています。
また違った視点の話になるのですが、電通ライブに根付いている社風として責任感の強さが挙げられると思います。最初から強い人もいれば、徐々に根付いていく人もいるのですが、とにかくやり切る力は社員全員が持っていると思います。それは何でも個人で解決するということではなく、うまくいかないところは先輩がフォローしたり、逆に後輩がサポートしたりと、チームプレイも発揮しながら最終的にやり切るということです。
すごく分かります。私たちの仕事はある意味、世の中に晒されるような仕事なわけです。しかも、それが一発勝負で絶対に失敗できないこともあります。そのような責任の大きい仕事に向き合う姿勢は格別だなと思っています。そして、そのような経験を繰り返していくうちに、他者へのリスペクトが根付いてくるんです。自分一人では何も成し遂げられないことに気づき、社内のメンバーはもちろん、クライアントの担当者や協力会社の皆さん、電通グループの仲間をとても大切にする。そういう社風が素晴らしいなって思いますね。
その一方で、責任感があるがゆえにのめり込んでしまうことが多いのも事実です。これからライフステージの変化を迎えたり、仕事に対する価値観も多様化する中で、それこそテクノロジーを有効活用しながら、根幹のスピリットを変えずに進化していけると良いですよね。
おっしゃるとおりです。クリエイティブとは頭の中にある想像をカタチに変えていく仕事なので、考え続けようと思えばいくらでも考え続けられるし、のめり込んでしまうこともあります。でも、自分自身の心身が健康でなければ、人に対して感動を提供することはできません。心身の健康もそうだし、ライフステージの変化にも適応しながら、仕事に対する情熱を失うことなく、生産性や効率性を高めていくことが重要です。例えば、これまで毎回ゼロから積み上げていた仕事を、5合目からスタートできるようにする。そのようなDX化に取り組んでいきます。
−最後に、電通ライブはどんな人におすすめですか?電通ライブに興味のある就活生へのアドバイスをお願いします。
私はこれまでOBOG訪問でいろんな就活生と接してきた中で、「熱しやすくて冷めやすいんです」「飽き性で一つのことが続かないんです」という悩みを聞くことがけっこうありました。その上で思うのは、飽き性の人は意外と向いているかもしれないということ。私たちの仕事は1つのことだけをずっとやるというよりも、いろんな案件に関わるチャンスが多い仕事です。そう考えると、たとえ飽き性であっても瞬発的な集中力や熱中力がある人は電通ライブに向いていると思います。
それから、人とコミュニケーションを取りながら進めていく仕事なので、人が好きだったり、人と話すことが苦痛でない人が向いていると思います。そして、就活はいろんな業界の社会人と話せる貴重な機会なので、第一志望の業種でなくてもちょっと興味のある会社は調べて、なるべく多くの人とコミュニケーションを取ってみることをおすすめします。その上で最終的に電通ライブを選んでもらえると嬉しいですね。
電通ライブの仕事は決して楽な仕事ではありません。イベントやステージは華やかですが、我々はその舞台を作る裏方です。いろんな関係者や協力会社の方々と何度も調整を行い、働きやすい環境づくりだけでなくメンタルケアもする。楽屋にお弁当を運ぶこともあれば、演者の好きな飲料を調べて用意することもある。そのように、いろんな人のことを想像しながら、いろんなことを先回りしてカタチを作っていく仕事なんです。もちろん、専門技術も学び続けなければいけません。そういった仕事の積み重ねによって、人びとに感動を与えたり、クライアントや社会の課題解決につながったり、より良い未来をつくっていくことを目指している会社です。社会人になれば、どこの会社に入ったとしても人生の多くの割合を仕事が占めることになります。そして、世の中に楽な仕事はありません。どうせ働くなら、多くの人に感動を与える仕事をしたい、より良い未来のための原動力づくりにチャレンジしたい。そんな方にはぜひお越しいただきたいと思っています。
本取材は2024年10月に実施したものです