電通ライブには、チームや部署の垣根を超えて有志が集い、特定のテーマに取り組む「社内プロジェクト」が存在します。「サステナブル・イベント研究会」もその一つ。環境やDEI(ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン)に配慮した持続可能なイベントのあり方を“あたりまえ”のものにすべく、社内のみならず競合他社や業界団体とも連携して変革にチャレンジしています。活動にかける思いや社内プロジェクトの魅力について、メンバーに話を聞いてみました。
社内外の垣根を超え、業界の変革を牽引する
−はじめに簡単な経歴と現在のお仕事を教えてください。
前職はディスプレイ会社で制作として働き、2012年に電通テック(現 電通プロモーションプラス)に入社し、2017年から電通ライブに所属しています。転職後は一貫してイベント・スペース領域の空間デザインに携わり続け、現在はマネージャーとしてチームが働きやすい環境を作るような仕事をメインで担っています。
私は内装系の会社で働いていたのですが、国際的なスポーツ大会に携わりたくて2019年に電通ライブに転職しました。現在は官公庁から民間含めて、様々な案件を推進しています。
私も前職は内装設計の会社で、森さんと同じく2019年に中途入社しました。現在は自動車メーカーのプロジェクトやラグジュアリーブランドのPOPUPイベントなどを中心に、イベント・スペース領域の制作を担当しています。
−それでは、皆さんが参加している「サステナブル・イベント研究会」の活動について教えてください。
「サステナブル・イベント研究会」(通称:サス研)は、サステナブルなイベントを世の中の“あたりまえ”にすることを目指して活動している社内プロジェクトです。活動内容は多岐にわたるのですが、例えば2022年に電通と共同で「サステナビリティに配慮したイベントガイドライン」の「環境編」、2023年に「DEI編」を制作し、各テーマに配慮したイベントの企画・制作フローやフェーズごとに実行すべきアクションのチェックリストなどをまとめて公開しています。
さらに、業界全体のサステナビリティ促進・リテラシー向上を実現すべく、2023年にはイベント・スペースを事業領域とする丹青社、乃村工藝社、博報堂プロダクツ、ムラヤマ、電通ライブの5社で「サステナブルイベント協議会」を発足しました。各社が協働しながらイベントへの出展や登壇、日本イベント産業振興協会(JACE)との連携などを通じて、業界全体を巻き込んだ変革に取り組んでいます。
また、社内の啓発活動にも注力しています。例えば、各事業部や役員の定例会にサス研メンバーが参加し、サステナビリティに取り組むことの重要性や、逆に取り組まないことによるリスクを説いたり、イベントガイドラインを有効活用する方法をレクチャーしたりするなど、社員一人ひとりにサステナビリティをジブンゴト化してもらい、知見向上につなげてもらうための活動を継続的に行っています。
−社内外でサステナブルイベントの推進や啓発活動に取り組んでいるのですね。ところで、イベント・スペース領域のサステナビリティについて、最近はどのような課題やニーズがあるのでしょうか?
今、国連が掲げるSDGsの達成に向けて、あらゆる企業がサステナビリティへの関心が強くなってきています。イベント・スペース業界においても建材や装飾材等の廃棄量削減、搬入・輸送時等に発生するCO2排出量削減、多様性に配慮した運営など、すべてのイベント関係者にサステナビリティの視点が求められています。
以前から企業では製品・サービスを作る過程においてサステナビリティを意識して取り組んでいると思いますが、PRやイベント開催時のサステナビリティ対応は遅れていたのが実情でした。しかし、ここ数年のさまざまな法改正や生活者意識の変化もあいまって、いよいよPRやイベントにおいてもサステナビリティに配慮することが必須である、という問題意識がクライアント側でも急速に高まっているのを肌で感じています。
例えば環境面で言うと、イベントのプロモーションに関するCO2排出量を算出して開示することが今後求められるようになります。一部の企業ではすでに、依頼内容にサステナビリティ対応が盛り込まれているケースもありますよね。
DEIの観点では、2024年に改正障害者差別解消法が施行され、障害のある方への合理的配慮の提供が義務化されたことは大きな変化だと思っています。実際に私が最近担当した案件でも、来場者に対する合理的配慮をどこまで行うのかについてクライアントと議論を重ね、マニュアルに落とし込む作業がありました。
そのように業界全体でサステナビリティへの意識が高まっている一方で、やらなきゃいけないという意識はあるけれど何をどこまでやれば良いのかが分からない、予算や時間の都合で対応が追い付かない、といった悩みを抱えている企業も多いように感じます。
−そのような課題やニーズがある中で、なぜ電通ライブが業界を牽引してサステナブルイベントの推進に取り組んでいるのでしょうか?
業界の中で新しい領域を開拓したり、大きな課題解決にチャレンジする時に、電通ライブは業界各社さんから変革を牽引していくような役割を期待されることが多く、私自身の業界経験からも、電通ライブはそのような立ち位置の会社であることは間違いないと思っています。今回のテーマであるサステナブルイベントの業界標準化などはまさに「変革」であり、私たちも業界を引っ張っていこうという強い意欲を持って臨んでいます。
成功体験を通じて活動の幅を広げていき、徐々にポジティブな変化も
−サス研の活動を進める中で大変だったことや苦労したことはありますか?
私はサステナブルイベント協議会の立ち上げから参画しているのですが、最初は各社の足並みが揃わないというか、普段は競合相手だったりするのでお互いに探り合いながらコミュニケーションを取ることも多かったです(笑)
確かに(笑)でも、イベントへの出展が決まって「これをやろう!」という方向性が定まった時に、みんなのフォーカスがぴったり合わさった瞬間がありましたよね。
はい、その場がキラッと輝いたのを感じました。そこから一気に意見交換が活発になり、それぞれの得意分野やクリエイティビティを発揮して無事にプロジェクトを成功に導くことができました。
今年は協議会メンバーでヨーロッパのサステナブル先進企業を訪問しましたし、サステナビリティ関連イベントへの登壇や企業のワークショップ開発など、活動の幅がどんどん広がっていますよね。
はい、定例会だけでなく日々のコミュニケーションも活発で、本当に企業の枠組みを超えた身近な関係性が築けていると感じています。
−素晴らしいですね。そういった取り組みの成果や反響、社内外に生まれた変化があれば教えてください。
協議会で実施したイベントの報告書を作成するために、プロジェクトのスタッフとして参加してくれた各社の社員の方々にもアンケートを取ったのですが、「とても勉強になった」「こうやってサステナビリティを広めていけるのは良いことだと思う」といった声が多く、社外への情報発信だけでなく、各社の社内啓発活動としての役割も果たせたことが嬉しかったです。業界内の意識変革にきちんとつながりそうだという手ごたえがありました。
一方、社内の変革ついてはまだまだこれからだと思うのですが、少しずつポジティブな変化が生まれているように感じます。例えば、「サステナビリティに配慮したイベントガイドライン(DEI編)」を作った時に、社内向けにDEIを具体的に実践するためのソリューションリストも作成したんです。すると、部内のメンバーから想定以上に大きな反響をもらえて、「こういうのが欲しかった」「めちゃくちゃ使えるね」という前向きな声も多く、サス研の地道な活動が徐々に実を結び始めているように思います。
社内プロジェクトで気づいた、電通ライブの風通しの良さ
−ところで、通常業務と社内プロジェクトを両立させるのは大変だと思うのですが、どうやって成り立たせているんですか?
繁忙期には本当に手が回らなくなってしまうので、サス研メンバーに助けを求めてタスクを引き継いでもらうことはあります。逆に他のメンバーが手一杯の時は引き取って作業するというふうに、助け合いでなんとか両立しています。
そうですね。本業をおろそかにしてはいけないのは大前提としてあるのですが、サス研で学んだことが通常業務の案件に役立つこともけっこうあるので、そういう意味ではサス研の活動もかなり重要というか、得られるものは大きいと感じています。
サス研を運営する立場としては、あくまでも有志で集まっているプロジェクトなのだから、無理をさせることがないようにできる限りケアすることを心がけています。その点においては、現在20名前後のメンバーが参加してくれているので、ある程度柔軟にチーム編成を組めることが助けとなっています。
それから、通常業務にプラスしてこの活動に取り組んでいるということを、しっかりと会社に伝えていくことが重要だと思っています。ありがたいことに役員がこの活動を応援してくれているので、そのサポートも大きな支えになっています。
−社内プロジェクトに参加して得られた気づきはありますか?
「この会社って風通しが良いな」って、改めて思いました。それこそ、役員の会議に管理職ではない僕が参加させてもらって、サステナビリティに関するディスカッションを役員の方々と対等にできる。この規模の会社でそれができるのは、けっこう珍しいと思うんです。そして、サステナブル・イベント研究会のメンバー、色んな世代の人がいます。新卒入社で入ったメンバーもたくさんいて、このプロジェクトがきっかけで私自身の交流も明らかに増えました。
分かります。役員に限らず普段はあまり関わりがなかった社員ともこのプロジェクトを通じてフラットに話す機会が増えて、すごくコミュニケーションが取りやすい会社だなって思いました。
僕は以前から社内横断型のプロジェクトチームを率いることがあったのですが、サス研で一番の学びになったのは、業界全体を巻き込むことの大切さです。競合他社の壁を超えて共創した時に生まれるインパクトや、さまざまな組織・団体に協働してもらう方法も含めて、今後サステナビリティ以外の分野にも活かすことができそうな学びを日々得られています。
「サステナブルイベント」という言葉がなくなる未来を目指す
−今後、サス研で注力していきたいことを教えてください!
サステナブルな取り組み自体を持続可能なものにしていくためには、企業として利益を生み出すことも非常に重要だと考えています。将来的にはビジネスにつながる活動に発展させるために、我々が得意とするクリエイティブや体験設計を最大限に活かしながら、その可能性を模索したいと思います。
環境に配慮したイベントと聞くと、どうしても華やかさが失われるようなイメージがあると思います。しかし、感動体験を創出するためには演出やワクワク感も大事ですので、サステナビリティと華やかさ、双方が実現できる取り組みを追求していきたいなって思います。
まずは電通ライブが中心となって、サステナブルイベントの普及や啓発を引き続き牽引していきたいと考えています。そのためにはサス研のメンバーがどんどん外に情報発信を行うことも大事だと思います。
そして、最終的には「サステナブルイベント」という言葉が使われなくなることを目指しています。すべてのイベントはサステナブルであることが当然になれば、わざわざ名付ける必要はなくなるわけですから。そのゴールに向かって引き続きみんなと一緒に取り組んでいきたいですね。
−最後に就活生へのメッセージをお願いします!
僕は社会福祉学科出身で、前職の就職先も内装会社ですから、電通ライブの領域とはあまり関係のない人生を歩んできました。それでも、今サス研で取り組んでいるDEIの領域は福祉の精神に通じるものがありますし、内装の知識がイベント制作に活かせることもあります。つまり、今はイベント・スペース領域と関係のないことを学んでいる人でも、電通ライブの仕事につながる瞬間があるかもしれないということ。ですので、本当に目指したいのであればご自身のバックグラウンドは気にせずに、ぜひ応募してください。
同じく、どのような知見・経験であっても、仕事につながる場面があると感じているので、電通ライブに何か引っ掛かるものがあるならばぜひ応募していただきたいと思います。
いろんな会社を見ることができる機会って就活の時しかないと思うので、まずはとにかくいろんな会社を見てほしいなって思います。イベント・スペース領域の会社もたくさんあるので、いろんな会社に触れて、どんな業界なのかをぜひご自身で感じ取っていただきたいです。
本取材は2024年10月に実施したものです