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「待ってました!」と
「そうきたか!」をつくる。
MIXIと挑む「DREAMDAZE」の
体験設計

  • 金田 実里2012年入社
  • 田村 彩貴2019年入社
※本取材は2026年9月実施。
所属および肩書き、内容は取材当時のものです。

「モンスターストライク」をはじめとするゲームの世界を全身で感じるMIXI主催の未体験ライブエンターテインメント「DREAMDAZE」。電通ライブは、その前身となる「XFLAG PARK」が始まった2016年から、MIXIとともにイベントづくりに携わってきました。

今回は、約10年にわたってこのプロジェクトを担当する金田と、入社1年目からMIXIさんの案件に関わってきた田村にインタビュー。熱量の高いファンの期待にどう応え、どう超えていくのか。クライアントと一体になった企画・制作の舞台裏から、IP(知的財産)に関わる仕事の面白さ、難しさまで聞きました。

企画から演出、プロモーションまで。
MIXIとワンチームで育ててきたイベント

−まずは、お二人のこれまでの経歴を教えてください。

金田

私は2012年に中途入社しました。官公庁のプロジェクトや大規模なお祭り、エンタメ・IP系の案件など、これまでかなり幅広い仕事を経験しています。MIXIの案件には2016年から関わっていて、現在もメインクライアントの一つとして担当しています。

田村

私は2019年に新卒で入社しました。少し珍しいかもしれませんが、1年目からずっとMIXIの案件を担当しています。途中で2年ほどほかのクライアントも経験しましたが、基本的にはMIXIを軸に仕事をしてきました。

−「DREAMDAZE」は、どのようなイベントなのでしょうか?

金田

「モンスターストライク」を中心としたIPの世界を、リアルな体験へ広げていくイベントです。ゲームだけではなく、さまざまなステージやパフォーマンス、エンターテインメントコンテンツを通じてファンに楽しんでもらう、年に一度の大きなイベントですね。現在の「DREAMDAZE」という名称になったのは2023年ですが、前身の「XFLAG PARK」から数えると、電通ライブは2016年から関わっています。

−電通ライブは、具体的にどこからプロジェクトに関わっているのでしょうか?

金田

かなり最初の段階からですね。「XFLAG PARK」のときはイベントのネーミングから関わりましたし、イベントで使用する音楽やクリエイティブ全般のディレクション、ステージ演出、コンテンツの企画、プロモーションまで、幅広くMIXIさんと一緒に考えています。

特にここ2〜3年は、さらにMIXIさんとの距離が近くなっています。一般的な仕事では、クライアントからのオリエンテーションを受けて、そこから企画を考えることが多いと思います。でも、このプロジェクトでは1年ほど前から「今、何が課題なのか」「次に何をするべきなのか」という上段のところから話し合う。いわば、オリエンそのものを一緒につくっているような感覚です。

田村

私たちは定期的にMIXIさんのオフィスにも伺っています。イベントが近づくと、月の半分以上いることもありますね。

「待ってました!」8割、「そうきたか!」2割。
ファンの期待を超える体験設計

−体験を考える上で、特に大切にしていることはありますか?

金田

企画をするときによく考えるのが、「待ってました!」と「そうきたか!」のバランスです。モンストは長く愛されているIPなので、ファンの中には「こういうものが見たい」「そろそろこれが来るんじゃないか」という期待がすごくあります。そこに応える「待ってました!」が8割くらい。でも、それだけではだんだん驚きがなくなってしまうので、残りの2割で「そうきたか!」と思ってもらえるものをつくる。期待を少し超えたり、いい意味でずらしたりするんです。逆に、この2割を頑張りすぎると「求めていたものと違う」と思われるかもしれません。特に長く続いているIPでは、この8対2のバランスがすごく大事だと思っています。

−そのバランスを見極めるには、ファンが何を求めているのかをかなり深く理解する必要がありますよね。

田村

私はSNSをかなり見ています(笑)。例えば新しいグッズが出たときにどんな反応があるのか、ポジティブな意見だけではなく、ネガティブな反応も含めて、ユーザー同士がどんな会話をしているのかまで追っています。「DREAMDAZE」以外のイベントもたくさん担当させていただいているので、ファンの方と直接お話しする機会もあります。全国のイベントに毎回来てくださる方もいて、顔見知りになっている方もいるくらいです。

−リアルイベントならではの体験づくりで工夫してきたことはありますか?

金田

イベントを始めた頃と今では、ファンの楽しみ方もかなり変わったと感じています。10年ほど前は、スマートフォンのゲームなので、会場に来ても手元の画面を見ながらプレイしている方が多かった。それが今では、ステージを見ながら声を出したり、会場全体で盛り上がったりしてくれるようになりました。どうすれば自然に手拍子をしてもらえるのか、どうすれば声を出したくなるのか。そのためにはどんな音楽がよくて、どんな照明を連動させればいいのか。そういうことを一つひとつ考えてきたんです。音楽も、ただ格好いい曲をつくればいいわけではありません。誰でもリズムを取りやすく、自然に体を動かしたくなるようにする。その音に合わせて照明も動かす。ファンの方々が普段どんなふうにコンテンツを楽しんでいるのかまで想像しながら設計しています。

田村

「DREAMDAZE」は大きなアリーナで開催するイベントなので、そのスケールをどう生かすかも毎年考えています。ゲームはどうしても小さなスマートフォンの画面で楽しむものなので、それを1万人規模の空間で体験したときに、どうすれば迫力のあるエンターテインメントになるのかを考えることも大事にしています。

1年かけて考えたものが、1万人の熱狂に変わる。
その瞬間が面白い

−長く同じプロジェクトに携わっているからこその面白さはありますか?

金田

10年も同じクライアントを担当していると、「ずっと同じことをしていて飽きないんですか?」と聞かれることがあります。でも、むしろ逆ですね。長く続いているIPだからこそ、毎年何かを超えていかなければいけない。次は何ができるのかをMIXIさんと一緒に考えて、そのために国内外の新しいエンターテインメントを見に行ったりもしています。

しかも、このプロジェクトでは企画だけではなく、音楽、美術、音響、照明、映像など、イベントを構成する細かな部分まで関わることができます。みんなで1年かけて考えてきたものが、最初は企画書や設計図の中にしかなかったのに、最後には巨大な会場と1万人規模の熱狂が現実の世界に立ち現れる。その瞬間はやっぱり毎回感動しますね。

田村

私はシンプルにファンの方々が楽しんでいる姿を見るのが一番好きです。何かが発表された瞬間に会場中から声が上がったり、写真を見返すと笑顔の人がたくさん写っていたりする。1年かけてつくってきたものを、目の前で楽しんでもらえている姿を見る機会って、意外と少ないと思います。自分が観客としてライブに行って楽しむのとはまた違って、つくり手として一歩離れたところからその熱狂を体感する。それはBtoCのイベントならではの喜びだと思います。

金田

オンライン配信でも、狙っていた演出の瞬間にYouTubeのコメントが一気に流れて、「神演出!」みたいな言葉が並ぶと嬉しいです(笑)。「ここで盛り上がってほしい」と考えていたところで本当に反応が起こると、思わずにんまりしてしまいます。

田村

私は2020年の「XFLAG PARK」がすごく印象に残っています。当時は入社2年目で、初めて自分が中心になってステージコンテンツを担当した年でした。すごく大変で、「もう無理かも」と思うくらい試行錯誤したのですが、最終的に配信で自分たちが力を入れていた演出にたくさんのポジティブなコメントがついたんです。それを見た瞬間、これまでの頑張りや苦労が報われました。今でも忘れられないですね。

−華やかな本番に至るまでは、大変なことも多いですよね。

田村

かなり多いです(笑)。「DREAMDAZE」の規模になると、関わる協力会社の方も非常に多いですし、クライアント側にもたくさんの担当者がいます。その中で、いろいろな人の意見を整理しながらプロジェクトを進めていかなければいけない。私は入社3〜4年目から、長年この仕事をされている協力会社の方々にも自分からお願いや意見を伝える立場になりました。100人規模のスタッフの前で進行することもあり、最初はかなりプレッシャーがありました。

金田

大規模なプロジェクトなので、コミュニケーションの量だけでもものすごいんです。直前になると、チャットを追いながらやるべきことを整理するだけで半日が過ぎることもあります。その大量の制作業務を進めながら、「もっと面白くするにはどうしたらいいか」も考え続けなければなりません。今のイベントをつくりながら次の企画も仕掛けていく必要があるので、そこは大変ですね。

−ファンの熱量が高いIPを扱う仕事ならではの難しさもありますか?

金田

もちろんあります。「待ってました!」と「そうきたか!」の話にもつながりますが、ずらし方を間違えると、ファンの皆さまから厳しい反応をいただくこともあります。とはいえ、それを恐れて期待通りのものだけをつくっていると、今度は飽きられてしまう。すべてのネガティブな意見をなくそうとすると、尖ったところのない企画になってしまいます。だから、さまざまな意見にはきちんと耳を傾けながらも、MIXIさんと一緒に「どう攻め続けるか」を考えることが、この仕事の難しさでもあり、やりがいでもあります。

もう1点、気をつけているのが「自分がIPのファンになりすぎないこと」ですね。長く担当していると、IPのことがどんどん好きになりますし、知識も経験も増えるので「これはこういうものだよね」という常識のようなものが自分の中にも染みついてきます。でも、プロモーションを考える立場としては、初めて見る人がどう感じるのかという第三者の視点も必要です。IPの中に深く入り込む視点と、一歩引いて見る視点。その両方を行き来することを意識しています。

自分なりの「楽しい」を見つける。
それが仕事を動かす力になる

−ちなみに、お二人はもともと、好きなことを仕事にしたいと考えて電通ライブに入ったのでしょうか?

田村

私は学生時代、学生団体でイベント運営をしていました。アイドルのコピーダンスの大会だったのですが、出演する人や観客が楽しそうにしている姿を見るのが好きだったんです。就職活動では広告業界だけを見ていたわけではなく、金融などいろいろな業界を見ました。でも、電通ライブの説明会に参加したときに、働いている人たちがすごく楽しそうだった。それが決め手でした。

ただ、私はもともとゲームをほとんどやらなかったので、入社してMIXI担当になったときは「どうしよう」と思いました(笑)。モンストもすでに長く続いているIPだったので、まずゲームを理解するところから大変でした。

−そこから、どのように仕事の面白さを見つけていったんですか?

田村

長く担当するうちにIPにも愛着が湧いて、ユーザーの方とも顔見知りになって、「この人たちに楽しんでもらいたい」と思えるようになりました。若いうちは、そんな身近なところから自分なりのモチベーションを見つけてもいいと思います。

金田

私は学生時代からイベントのアルバイトをしていて、「いつか全体をプロデュースする立場でイベントをやりたい」と思っていました。企画を考えること自体も好きなので、今でも本を読んだり、いろいろなものを見たりして、日常の中でも「これ、仕事に使えるかもしれない」と考えてしまいます。

−これからこの業界を目指す学生に向けて、伝えたいことはありますか?

金田

学生のうちは、自分が楽しいと思うものを、とことん突き詰めてほしいです。「なぜ自分はこれが楽しいんだろう」と分析するのは、会社に入ってからでもいい。まずは夢中になれるものが自分の中にあることが、仕事でもすごく役に立つと思います。

田村

私も、学生のうちは学生生活を全力で楽しんでほしいと思っています。最近は早い時期からインターンや就職活動を始める人も多いと思いますが、社会人になれば仕事はいくらでもできますから(笑)。もちろん、本人が好きでインターンをやるのはいいと思いますが、「まわりがやっているから」と無理に背伸びするのではなくて、自分が本当にやりたいことをやってほしい。そういう経験や感覚を、私たちも新しく入ってくる人から教えてもらいたいです。

−電通ライブを志望している学生には、どんなことを伝えたいですか?

田村

私は「日本でも特に大きなイベントに関われる会社だ」と思って電通ライブを選びました。もちろん、入社してすぐに自分のやりたい仕事ができるとは限りません。でも、やりたいことを考えて、企画して、手を挙げ続ければ、挑戦できるチャンスがある会社だと思っています。

金田

本当にいろいろなことにチャレンジできますよね。世の中にはたくさんの企業やコンテンツがあって、電通グループのネットワークもあります。「これをやりたい」と企画すれば、誰かが話を聞いてくれる可能性があるんです。自分が楽しいと思うことを、クライアントやたくさんの仲間と一緒に形にして、それによって誰かの一生に残るような思い出をつくることができる。それは、この仕事のすごく大きな魅力だと思います。