2017/08/15
G20大阪サミット2019 -広報展示-
- 外務省
- June / 29 / 2019
- 大阪国際見本市会場(インテックス大阪)
国際会議において日本の魅力を発信する政府広報展示スペース
G20はマクロ経済や貿易問題を主軸に、気候変動やエネルギー、移民難民問題等の地球規模の課題について活発に議論される国際経済協調の第一の協議体である。
日本での開催は今回が初。
電通及び電通ライブは、会議運営にかかわる諸施設・設備の実施計画~施工・運営を担当した。
本展示施設はプレス向け施設としてIMC(国際メディアセンター)が設置されるに伴い、世界各国からプレスが集まるこの絶好の機会に、日本の魅力を世界へ発信することを目的とした政府広報展示スペースとして計画された。
展示スペースは3つのエリアで構成。
①海に浮かぶ未来の箱庭をモチーフにした最先端技術を体験できるイノベーション展示
②メディア関係者用のダイニングと屋台をイメージした食べ歩きできるライブキッチン
③東京2020オリンピック・パラリンピック/復興/観光の文化エリア
動線計画にあたっては、これら3つの異なるエリアをシームレスにつなぎ、融合させ、「食べる・歩く・見て回る」という自由な回遊性と滞留したくなる体験スタイルを随所に取り入れた。結果、メディア関係者だけに留まらず各国代表団も来場したことで想定以上に活況を呈し、ひいては日本の魅力紹介に貢献できたのではないだろうか。



Panasonic ミラノ・サローネ2017
- パナソニック株式会社
- April / 09 / 2017
- イタリア国立 ブレラ美術アカデミー B1F・1F
Electronics Meets Crafts 日本のエレクトロニクスと伝統工芸の高い技術力と美意識を発信
世界最大規模のデザインイベント『ミラノサローネ 2017』において、京都の伝統工芸を受け継ぐ若手ユニット「GO ON」とパナソニックデザインとのコラボレーションによる新しいクラフト家電プロトタイプを出展。高輝度プロジェクターや振動スピーカー、IH技術等と伝統工芸が融合した五感や記憶に響くインスタレーションとプロトタイプを展示。
ブレラアカデミーの中庭と地下室の2か所で、テーマ「Electronics Meets Crafts:」を光で表現。
「DSA 日本空間デザイン賞2017 A部門 エキシビション、プロモーション空間」入選。
■第一会場 中世の中庭に降り立つ仮設建築「モノリス」
パナソニックが持つ先進の映像・音響・照明などのテクノロジーによるエンターテインメントソリューション空間を展開。ダイナミックな演出と空間で五感を研ぎ澄ませる体験を提供。光の綾をもつ西陣織に染み入る映像と霧に刻まれる光は、Panasonic Designのフィロソフィを心象的なインスタレーションとして語る。
■第二会場 400年の時を記憶する地下通路
京都の伝統工芸作家GO ONとPanasonic Designのコラボレーションによるプロダクツがロングカウンターとともに、光に浮かび上がる。便利さや快適さ以上に人のココロを動かすものづくりを目指した家電とくらしの「新しいあり方」を考えさせる展示。
■受賞
展示会のベスト展示を選定するコンペティション『Milano Design Award 2017』において、パナソニックが「ベストストーリーテリング賞」を受賞。





Panasonic ミラノ・サローネ2017
パナソニック株式会社
2017年4月4日~9日
イタリア国立 ブレラ美術アカデミー B1F・1F
CES 2018 MITSUFUJI ブース
- ミツフジ株式会社
- January / 12 / 2018
- Sands Expo, Las Vegas, USA
ウェアラブルIoTメーカー「ミツフジ」のCES出展をプロデュース
ラスベガスで実施される世界最大規模の先進技術見本市「CES」をリブランディングのスタートの場として定義、新たなコミュニケーションデザインを開発。
■実施制作・本番運営
世界中の気鋭のアップカミング企業が集まるSands Expo内、スポーツゾーンで出展。
CES開催直後に発表した、ボクシングWBA世界ミドル級王座村田諒太氏との提携に先駆け、村田選手のインタビュー映像やグラフィックなどをブースで展開。
また、マイケルジャクソンなど多くのスターを送り出したNYのアポロシアターアマチュアナイトで年間チャンピオンを獲得した桑田源大氏をステージパフォーマーとして起用。
結果、ロイター通信が選定する「Best of CES」にミツフジが選定された(全3900出展社の中から40社)








CES 2018 MITSUFUJI ブース
ミツフジ株式会社
2018年1月9日~1月12日
Sands Expo, Las Vegas, USA
ジャパン・ハウス サンパウロ
- 外務省
- April / 30 / 2017
- 南米 Av.Paulista 52, Sao paulo, Brazil
日本の魅力を広く伝える国際情報発信拠点
ジャパン・ハウスとはロンドン、ロサンゼルス、サンパウロの3都市に設置された海外拠点事業。日本の魅力を伝えることにより、日本への深い理解と共感の裾野を広げていく。
3都市の総合プロデューサーは日本デザインセンター原研哉氏。サンパウロは隈研吾建築都市設計事務所、ブラジル戸田建設やブラデスコ銀行等の地元企業を中心にコンソーシアムを形成し事業を運営。2017年4月に開館を迎えた。
■エキシビション、物販、飲食、書籍/WEBとカフェ、多目的スペースなどを融合させ、未来資源としての伝統、大衆文化の熱、ハイテクノロジーの実力、多様な食の魅力等を具体的に紹介・提示
世界の人々に「いかに日本を知らなかったか」に気づいてもらい日本に目覚めてもらうために、「日本とは何か」を真摯に問い続ける。ハイカルチャーにも、サブカルチャーにもハイテクノロジーにも正面から向き合い、圧倒的な独自性を持つ日本文化の諸相への深い理解と共感を醸成していく事業。
親日家・知日家の育成や、世界と日本の知的交流、新たなビジネス機会創出を目指す。日本から持ち込んだヒノキの大型ファサードが話題に。
開館後約1年半で110万人の来場者を記録し、サンパウロの新たな人気文化施設となった。
※掲載内容は2018年11月現在の情報となります。







ジャパン・ハウス サンパウロ
外務省
2017年4月30日開館式~営業中
南米 Av.Paulista 52, Sao paulo, Brazil
「ドバイ万博日本館」建築設計チームが語る、「つなぐ建築」に込めた想い(後編)
- October / 06 / 2021
アラブ首長国連邦ドバイで2021年10月1日〜2022年3月31日にかけて開催される「2020年ドバイ国際博覧会」(以下、ドバイ万博)。
「日本館」の建築設計チームに建築に込めた想いをお聞きした前編に引き続き、永山祐子建築設計(デザインアーキテクト)の永山祐子氏、NTTファシリティーズ(マスターアーキテクト・意匠設計)の小清水一馬氏、Arup(構造・設備・ファサードエンジニアリング)の菅健太郎氏、電通ライブ(総合プロデュース)の關本丹青が、コロナ禍での建築や今回のプロジェクトで得られた学び、今後に向けた意気込みを語り合いました。
お互いに知恵を持ち寄り、ワンチームで課題解決に挑む
―今回は複数の組織が協働するプロジェクトでしたが、建築設計チームの日々のコミュニケーションはどのように行っていたのでしょうか?
關本:毎週定例会を開催していたのですが、ドバイをはじめとする関係各所との調整事項は多岐にわたるため、毎日メールや電話、時には個別の打ち合わせをセッティングして、かなり濃密にやりとりを重ねました。この数年間ずっと合宿していたような気分です(笑)。
小清水:日々、目まぐるしく状況が変わるからこそ、リアルタイムで情報共有と調整を行うこと、そのスピード感が求められる仕事だったと思います。
菅:大きな調整事項が発生するたびに、NTTファシリティーズがプランニングやスケジュールを立て直して、調整できるところを検討してくれましたよね。組織力や機動力に助けられたことが何度もありました。
小清水:乗り越えなければならない課題はたくさんありましたが、それぞれ皆さんが前向きに議論し課題解決に向けて取り組むことで、チームの結束やパワーも高まったように思います。
永山:大きなプロジェクトでスケジュールもタイト、調整しなければならないことも大量に発生するからこそ、それぞれ役割分担がありながらも、あまり立場にとらわれず知恵を持ち寄り、ワンチームで問題解決に取り組むことが大切だと思いました。
關本:やはり、全方位的な信頼関係を構築しないと成立しない仕事だと改めて感じます。信頼関係があるからこそ、お互いの立場が違う中でもフラットに意見を言い合えて、建設的な議論を重ねることができたと思います。
信頼関係があったからこそ、コロナ禍のデジタルシフトもスムーズに
―今回は新型コロナウイルス感染症の影響で、約1年間の延期を経ての開催となりました。コロナ禍での作業はいかがでしたか?
關本:それまでは毎月ドバイに足を運んでいたのですが、コロナ禍で現地に行くことができなくなりました。それでも施工は続くので、オンラインチャットツールや3Dデータを介してドバイ側とやりとりを続けました。すでに現地のメンバーとは頻繁に顔を合わせて信頼関係が構築できていたので、オンラインのコミュニケーションにもスムーズに移行できました。
小清水:私も現場に行けない状況でプロジェクトを進めることは初めての経験でした。その中でも、WEB上での情報管理システムの導入や、完了検査のリモート実施など、デジタルツールをうまく活用しながら進めることができたと思います。

360度カメラを用いたリモート検査システム等を活用し、フルリモートでの竣工検査を実施
―完成を迎えた時は、どのような心境でしたか?
永山:このメンバーで完成後に現地に赴いたのはまだ私だけなのですが、日本で思い描いていた姿がディティールに至るまでそのまま再現されていることに、シンプルに感動しました。しかも海外で、現地に行けない環境の中で実現できたのは本当に奇跡的なことだなと。
菅:写真を見て、その完成度の高さに「本当にパースの通りにできたんだ」と驚きました。ドバイのメンバーからも「アメージング!」という感想が続々と届いています(笑)。そういった反響があると、頑張って良かったなと思いますね。バーチャルが浸透しつつある世の中ですが、物理空間を作ることの価値を実現することができた気がします。
關本:素敵な写真でしたよね。台形の敷地に二等辺三角形の建物を建てたことで、引きで写真が撮れます。SNSの時代に、日本館が世の中にどう発信されていくのか、PRも意識した建築を実現できたことは大きなポイントだと思います。

ライトアップされた日本館。ファサードの陰影が水盤に映り込む(2020年ドバイ国際博覧会日本館 提供)

日本館 ファサード(2020年ドバイ国際博覧会日本館 提供)
小清水:スマホがあれば何でも情報が手に入る世の中ですが、菅さんが「物理空間を作ることの価値」とおっしゃるように、やはり実空間での体験や感動は、いつまでも心に深く刻まれると思います。それが万博の醍醐味、ひいては建築空間そのものの価値だと思うので、ぜひ来場される皆さんに、実空間でしか得られない体験をしていただけると嬉しいです。
關本:コロナ禍でオンラインやデジタルシフトが加速していますが、その場にいるからこそ得られる感動はいつの時代も残り続けると思います。そのような感動を体感できる建物になったと自負しているので、現地に行ける方はぜひ足を運んでいただきたいです。
蓄積したナレッジやノウハウを、2025年に紡ぐ
―今回のプロジェクトを通して得られた学びを、今後どのようなことに生かしていきたいでしょうか?
菅:今回は日本の技術をドバイに持ち込む形でしたが、次回の大阪・関西万博は世界中の技術が日本に入ってきます。当然ながら、文化や慣習のすり合わせが必要になりますし、建築なら工法や役割分担の考え方、法律面の違いも出てきます。この機会に日本の建築業界全体が世界中のナレッジやノウハウを吸収して、グローバルマーケットにも対応できるように変わっていくといいなと思います。
小清水:万博は実空間でのイベントですが、今後はデジタルなバーチャル空間との掛け合わせが大きなポイントになることは間違いありません。デジタルツインの世界においても、今回の日本館のように日本らしい価値観に基づき、新たな出会いや感動が生まれる空間を紡いでいきたいと思います。
永山:今回、プロジェクトに携わりながら「万博って何だろう?」と何度も議論を重ねました。新しい技術や文化を共有することは大切ですが、同時にテーマ性も問われる時代です。世の中の大きな変革を経て、きっと次の大阪・関西万博は新しいカタチが問われるのかなと思っています。
關本:確かに今後、万博の意義は変わってくるかもしれません。それでも、文化的背景が異なる人たちが交わり、時には試行錯誤しながら、感動する場を作ることになるのは変わらないので、それを2025年に体感できる日本は恵まれていると思います。私たちも今回の経験を紡いで、その場に携われたら嬉しいですね。

永山 祐子(ながやま ゆうこ)
永山祐子建築設計 代表
1975年生まれ。昭和女子大学生活美術科卒業後、青木淳建築計画事務所に入社。2002年、永山祐子建築設計設立。 永山祐子建設設計:https://www.yukonagayama.co.jp/

小清水 一馬(こしみず かずま)
NTTファシリティーズ カスタマーソリューション本部 コンサルティング室 主査
1987年生まれ。首都大学東京大学院 都市環境科学研究科 建築学域 修士課程修了後、NTTファシリティーズに入社。 NTTファシリティーズ:https://www.ntt-f.co.jp/

菅 健太郎(すが けんたろう)
Arup 東京オフィス 環境設備リーダー
1977年生まれ。東京大学大学院 工学系研究科 建築学専攻 修士課程修了後、久米設計に入社。2009年からArupに勤務。 Arup: https://www.arup.com/ja-jp/offices/japan

關本 丹青(せきもと みお)
電通ライブ クリエーティブユニット 2025大阪・関西EXPO部
1977年生まれ。東京工業大学大学院 理工学研究科 建築学専攻 修士課程修了後、アトリエ・ワンに入社。2013年から電通、2017年から電通ライブに勤務。 電通ライブ: https://www.dentsulive.co.jp/
G20大阪サミット2019 -広報展示-
外務省
2019年6月28日、29日
大阪国際見本市会場(インテックス大阪)
Panasonic ミラノ・サローネ2017
- パナソニック株式会社
- April / 09 / 2017
- イタリア国立 ブレラ美術アカデミー B1F・1F
Electronics Meets Crafts 日本のエレクトロニクスと伝統工芸の高い技術力と美意識を発信
世界最大規模のデザインイベント『ミラノサローネ 2017』において、京都の伝統工芸を受け継ぐ若手ユニット「GO ON」とパナソニックデザインとのコラボレーションによる新しいクラフト家電プロトタイプを出展。高輝度プロジェクターや振動スピーカー、IH技術等と伝統工芸が融合した五感や記憶に響くインスタレーションとプロトタイプを展示。
ブレラアカデミーの中庭と地下室の2か所で、テーマ「Electronics Meets Crafts:」を光で表現。
「DSA 日本空間デザイン賞2017 A部門 エキシビション、プロモーション空間」入選。
■第一会場 中世の中庭に降り立つ仮設建築「モノリス」
パナソニックが持つ先進の映像・音響・照明などのテクノロジーによるエンターテインメントソリューション空間を展開。ダイナミックな演出と空間で五感を研ぎ澄ませる体験を提供。光の綾をもつ西陣織に染み入る映像と霧に刻まれる光は、Panasonic Designのフィロソフィを心象的なインスタレーションとして語る。
■第二会場 400年の時を記憶する地下通路
京都の伝統工芸作家GO ONとPanasonic Designのコラボレーションによるプロダクツがロングカウンターとともに、光に浮かび上がる。便利さや快適さ以上に人のココロを動かすものづくりを目指した家電とくらしの「新しいあり方」を考えさせる展示。
■受賞
展示会のベスト展示を選定するコンペティション『Milano Design Award 2017』において、パナソニックが「ベストストーリーテリング賞」を受賞。





Panasonic ミラノ・サローネ2017
パナソニック株式会社
2017年4月4日~9日
イタリア国立 ブレラ美術アカデミー B1F・1F
CES 2018 MITSUFUJI ブース
- ミツフジ株式会社
- January / 12 / 2018
- Sands Expo, Las Vegas, USA
ウェアラブルIoTメーカー「ミツフジ」のCES出展をプロデュース
ラスベガスで実施される世界最大規模の先進技術見本市「CES」をリブランディングのスタートの場として定義、新たなコミュニケーションデザインを開発。
■実施制作・本番運営
世界中の気鋭のアップカミング企業が集まるSands Expo内、スポーツゾーンで出展。
CES開催直後に発表した、ボクシングWBA世界ミドル級王座村田諒太氏との提携に先駆け、村田選手のインタビュー映像やグラフィックなどをブースで展開。
また、マイケルジャクソンなど多くのスターを送り出したNYのアポロシアターアマチュアナイトで年間チャンピオンを獲得した桑田源大氏をステージパフォーマーとして起用。
結果、ロイター通信が選定する「Best of CES」にミツフジが選定された(全3900出展社の中から40社)








CES 2018 MITSUFUJI ブース
ミツフジ株式会社
2018年1月9日~1月12日
Sands Expo, Las Vegas, USA
ジャパン・ハウス サンパウロ
- 外務省
- April / 30 / 2017
- 南米 Av.Paulista 52, Sao paulo, Brazil
日本の魅力を広く伝える国際情報発信拠点
ジャパン・ハウスとはロンドン、ロサンゼルス、サンパウロの3都市に設置された海外拠点事業。日本の魅力を伝えることにより、日本への深い理解と共感の裾野を広げていく。
3都市の総合プロデューサーは日本デザインセンター原研哉氏。サンパウロは隈研吾建築都市設計事務所、ブラジル戸田建設やブラデスコ銀行等の地元企業を中心にコンソーシアムを形成し事業を運営。2017年4月に開館を迎えた。
■エキシビション、物販、飲食、書籍/WEBとカフェ、多目的スペースなどを融合させ、未来資源としての伝統、大衆文化の熱、ハイテクノロジーの実力、多様な食の魅力等を具体的に紹介・提示
世界の人々に「いかに日本を知らなかったか」に気づいてもらい日本に目覚めてもらうために、「日本とは何か」を真摯に問い続ける。ハイカルチャーにも、サブカルチャーにもハイテクノロジーにも正面から向き合い、圧倒的な独自性を持つ日本文化の諸相への深い理解と共感を醸成していく事業。
親日家・知日家の育成や、世界と日本の知的交流、新たなビジネス機会創出を目指す。日本から持ち込んだヒノキの大型ファサードが話題に。
開館後約1年半で110万人の来場者を記録し、サンパウロの新たな人気文化施設となった。
※掲載内容は2018年11月現在の情報となります。







ジャパン・ハウス サンパウロ
外務省
2017年4月30日開館式~営業中
南米 Av.Paulista 52, Sao paulo, Brazil
「ドバイ万博日本館」建築設計チームが語る、「つなぐ建築」に込めた想い(後編)
- October / 06 / 2021
アラブ首長国連邦ドバイで2021年10月1日〜2022年3月31日にかけて開催される「2020年ドバイ国際博覧会」(以下、ドバイ万博)。
「日本館」の建築設計チームに建築に込めた想いをお聞きした前編に引き続き、永山祐子建築設計(デザインアーキテクト)の永山祐子氏、NTTファシリティーズ(マスターアーキテクト・意匠設計)の小清水一馬氏、Arup(構造・設備・ファサードエンジニアリング)の菅健太郎氏、電通ライブ(総合プロデュース)の關本丹青が、コロナ禍での建築や今回のプロジェクトで得られた学び、今後に向けた意気込みを語り合いました。
お互いに知恵を持ち寄り、ワンチームで課題解決に挑む
―今回は複数の組織が協働するプロジェクトでしたが、建築設計チームの日々のコミュニケーションはどのように行っていたのでしょうか?
關本:毎週定例会を開催していたのですが、ドバイをはじめとする関係各所との調整事項は多岐にわたるため、毎日メールや電話、時には個別の打ち合わせをセッティングして、かなり濃密にやりとりを重ねました。この数年間ずっと合宿していたような気分です(笑)。
小清水:日々、目まぐるしく状況が変わるからこそ、リアルタイムで情報共有と調整を行うこと、そのスピード感が求められる仕事だったと思います。
菅:大きな調整事項が発生するたびに、NTTファシリティーズがプランニングやスケジュールを立て直して、調整できるところを検討してくれましたよね。組織力や機動力に助けられたことが何度もありました。
小清水:乗り越えなければならない課題はたくさんありましたが、それぞれ皆さんが前向きに議論し課題解決に向けて取り組むことで、チームの結束やパワーも高まったように思います。
永山:大きなプロジェクトでスケジュールもタイト、調整しなければならないことも大量に発生するからこそ、それぞれ役割分担がありながらも、あまり立場にとらわれず知恵を持ち寄り、ワンチームで問題解決に取り組むことが大切だと思いました。
關本:やはり、全方位的な信頼関係を構築しないと成立しない仕事だと改めて感じます。信頼関係があるからこそ、お互いの立場が違う中でもフラットに意見を言い合えて、建設的な議論を重ねることができたと思います。
信頼関係があったからこそ、コロナ禍のデジタルシフトもスムーズに
―今回は新型コロナウイルス感染症の影響で、約1年間の延期を経ての開催となりました。コロナ禍での作業はいかがでしたか?
關本:それまでは毎月ドバイに足を運んでいたのですが、コロナ禍で現地に行くことができなくなりました。それでも施工は続くので、オンラインチャットツールや3Dデータを介してドバイ側とやりとりを続けました。すでに現地のメンバーとは頻繁に顔を合わせて信頼関係が構築できていたので、オンラインのコミュニケーションにもスムーズに移行できました。
小清水:私も現場に行けない状況でプロジェクトを進めることは初めての経験でした。その中でも、WEB上での情報管理システムの導入や、完了検査のリモート実施など、デジタルツールをうまく活用しながら進めることができたと思います。

360度カメラを用いたリモート検査システム等を活用し、フルリモートでの竣工検査を実施
―完成を迎えた時は、どのような心境でしたか?
永山:このメンバーで完成後に現地に赴いたのはまだ私だけなのですが、日本で思い描いていた姿がディティールに至るまでそのまま再現されていることに、シンプルに感動しました。しかも海外で、現地に行けない環境の中で実現できたのは本当に奇跡的なことだなと。
菅:写真を見て、その完成度の高さに「本当にパースの通りにできたんだ」と驚きました。ドバイのメンバーからも「アメージング!」という感想が続々と届いています(笑)。そういった反響があると、頑張って良かったなと思いますね。バーチャルが浸透しつつある世の中ですが、物理空間を作ることの価値を実現することができた気がします。
關本:素敵な写真でしたよね。台形の敷地に二等辺三角形の建物を建てたことで、引きで写真が撮れます。SNSの時代に、日本館が世の中にどう発信されていくのか、PRも意識した建築を実現できたことは大きなポイントだと思います。

ライトアップされた日本館。ファサードの陰影が水盤に映り込む(2020年ドバイ国際博覧会日本館 提供)

日本館 ファサード(2020年ドバイ国際博覧会日本館 提供)
小清水:スマホがあれば何でも情報が手に入る世の中ですが、菅さんが「物理空間を作ることの価値」とおっしゃるように、やはり実空間での体験や感動は、いつまでも心に深く刻まれると思います。それが万博の醍醐味、ひいては建築空間そのものの価値だと思うので、ぜひ来場される皆さんに、実空間でしか得られない体験をしていただけると嬉しいです。
關本:コロナ禍でオンラインやデジタルシフトが加速していますが、その場にいるからこそ得られる感動はいつの時代も残り続けると思います。そのような感動を体感できる建物になったと自負しているので、現地に行ける方はぜひ足を運んでいただきたいです。
蓄積したナレッジやノウハウを、2025年に紡ぐ
―今回のプロジェクトを通して得られた学びを、今後どのようなことに生かしていきたいでしょうか?
菅:今回は日本の技術をドバイに持ち込む形でしたが、次回の大阪・関西万博は世界中の技術が日本に入ってきます。当然ながら、文化や慣習のすり合わせが必要になりますし、建築なら工法や役割分担の考え方、法律面の違いも出てきます。この機会に日本の建築業界全体が世界中のナレッジやノウハウを吸収して、グローバルマーケットにも対応できるように変わっていくといいなと思います。
小清水:万博は実空間でのイベントですが、今後はデジタルなバーチャル空間との掛け合わせが大きなポイントになることは間違いありません。デジタルツインの世界においても、今回の日本館のように日本らしい価値観に基づき、新たな出会いや感動が生まれる空間を紡いでいきたいと思います。
永山:今回、プロジェクトに携わりながら「万博って何だろう?」と何度も議論を重ねました。新しい技術や文化を共有することは大切ですが、同時にテーマ性も問われる時代です。世の中の大きな変革を経て、きっと次の大阪・関西万博は新しいカタチが問われるのかなと思っています。
關本:確かに今後、万博の意義は変わってくるかもしれません。それでも、文化的背景が異なる人たちが交わり、時には試行錯誤しながら、感動する場を作ることになるのは変わらないので、それを2025年に体感できる日本は恵まれていると思います。私たちも今回の経験を紡いで、その場に携われたら嬉しいですね。

永山 祐子(ながやま ゆうこ)
永山祐子建築設計 代表
1975年生まれ。昭和女子大学生活美術科卒業後、青木淳建築計画事務所に入社。2002年、永山祐子建築設計設立。 永山祐子建設設計:https://www.yukonagayama.co.jp/

小清水 一馬(こしみず かずま)
NTTファシリティーズ カスタマーソリューション本部 コンサルティング室 主査
1987年生まれ。首都大学東京大学院 都市環境科学研究科 建築学域 修士課程修了後、NTTファシリティーズに入社。 NTTファシリティーズ:https://www.ntt-f.co.jp/

菅 健太郎(すが けんたろう)
Arup 東京オフィス 環境設備リーダー
1977年生まれ。東京大学大学院 工学系研究科 建築学専攻 修士課程修了後、久米設計に入社。2009年からArupに勤務。 Arup: https://www.arup.com/ja-jp/offices/japan

關本 丹青(せきもと みお)
電通ライブ クリエーティブユニット 2025大阪・関西EXPO部
1977年生まれ。東京工業大学大学院 理工学研究科 建築学専攻 修士課程修了後、アトリエ・ワンに入社。2013年から電通、2017年から電通ライブに勤務。 電通ライブ: https://www.dentsulive.co.jp/