DENTSU LIVE | 電通ライブ

新しいあしたの体験をつくる。
「L!VE ON PROJECT」始動(前編)

  • December / 24 / 2020

新型コロナウイルスの流行で人々の価値観や生活様式が大きく変わり、電通ライブが手がけているイベント/スペース領域においても、根底からその価値を問い直すことが求められています。こうした背景を受けて、2020年10月に立ち上がったのが、全社横断型プロジェクト「L!VE ON PROJECT」。
電通ライブが培ってきたイベントプロデュース力や空間デザイン力といった専門知見を統合しながら、イベント/スペースのオンライン化、バーチャル化対応など、New Normal時代の新しい体験創出にチャレンジしていきます。

今回は立ち上げメンバーの中から3人に、プロジェクト設立の経緯やそこに込められた思いを聞いてみました。

 

とある社員の書き込みから、すべては始まった

――はじめに、「L!VE ON PROJECT」を立ち上げた経緯を教えてください。

青木:電通ライブはオンラインでのコミュニケーション手段としてMicrosoft Teamsを活用しているのですが、そのチャットに書き込まれた一つの投稿からすべては始まりました。

西牟田:「誰かに聞いてみよう」という、仕事で分からないことを質問したり、パートナーの情報を聞いたりと、社員同士で情報交換できるチャットがあるのですが、そこに突然レディー・ガガのチャリティーコンサートのリンクを貼って、「こんなこと私たちもやりたいですよね」と書き込んだ人がいるんです。

青木:それが、ここにいる山本なんですけど(笑)。

山本:はい、私です……(笑)。当時、緊急事態宣言が発令されて会社に行けなくなり、当然イベントの仕事もなくなってしまい、「これからどうなるんだろう……」とすごく落ち込んでいました。その時、レディー・ガガさんがいろんなアーティストを集めて、医療従事者支援のためのオンラインライブを全世界に配信していて。ものすごく感動すると同時に、私たちもイベントを提供する立場なのに何もできていない、とモヤモヤしたんです。

青木:それで、あのTwitterのつぶやきみたいな思いをTeamsに……。

山本:はい、行き場のない思いを衝動的に書き込みました(笑)。すると、先輩や後輩が次々と反応してくれて、一気に話が盛り上がったんです。西牟田さんなんかは、いきなり「ステートメント書きます!」と言ってくれました。

西牟田:5分ぐらいでバッと書いて送ったよね。

山本:はい。リアルで会ったこともなかったのに、偉そうに「いいですねー」とか返信してましたよね……(笑)。でも、社内に同じ思いを持っている人がたくさんいることに気づいて、すごくうれしかったんですよね。

山本 毬奈

会ったことのない社員との議論で、頭のスイッチが切り替わる

――山本さんの突然の投稿を見て、皆さんはどんなことを感じたのでしょうか?

西牟田:コロナ禍でイベントの価値を根本から問い直さないといけなくなった時、僕としてはオンライン/オフラインを問わず、人々に体験を提供することが本質的な価値だと思ったんです。大変な時期だけど、今まで培ってきた力を活用しながら、新しいことにチャレンジする機会になるはずだと。そこに山本の書き込みがあって、一気にスイッチが入った感じです。

青木:最初は、何かひとつ仕掛けてみよう、くらいの軽い気持ちでした。イベントが中止になったから時間はあるし、暗いムードだから力を合わせて、何か世の中を元気づける楽しいことができればいいよねと。でも話せば話すほど、みんなの課題意識が変わってきた。出てくるアイデアもイベント/スペースの本質的な価値を考え直すことだったり、自分たちの領域自体をアップデートしていくものだったり。そこに共鳴する仲間もどんどん増えていったんです。

青木 峻

西牟田:当初はこのアイデアを、クライアントに提案しようと話していました。でも、ひとつのイベントとしてカタチにするだけでなく、みんなの思いや悩み、使命感など、この場で交わされている会話自体をプロジェクト化すべきだと。なぜなら、世の中に新しい価値を生み出すための議論を、これまで僕らは十分にできていなかったから。世の中の価値観が大きく変わっていく中で、会社がアップデートしていくためには、全社的なプロジェクトとして継続的に取り組むべきだと思いました。

青木:それこそ、同じ会社の人間なのに今まで一度も会ったことのない人、話したことのない人もたくさんいるんですよね。でも、山本の書き込みで頭のスイッチが切り替わった瞬間、初めましての人とも密なコミュニケーションが生まれた。全然知らなかった才能や発想と出会う。さらに、世の中に向けて新しい価値を生み出すという、これまで頻繁には使ってこなかった思考をみんなが少し持つ。それだけでも、僕らの仕事のやり方は変わると思うんです。これはコロナに関係なく大事なことですよね。

山本:チャットに参加してくれたのが、普段コミュニケーションを取ったことのない人たちばかりで、電通ライブにはこんなに面白い人たちがいるのか!と驚きました(笑)。本当にいろいろな性格や考え方の人がいて、発言ひとつ、アイデアひとつに、いつも刺激を受けています。

――チャットで始まった議論を、どのようにプロジェクト化していったのでしょうか?

山本:まずはとにかくみんなでアイデアや意見を出し合い、タイミングを見ながらプロジェクト発足の提案書としてまとめていきました。

青木:アイデア自体はどれも良いけれど、それを実装してカタチにするのはとても大変です。しかも僕らは体質的に、一つ一つの仕事で100点を取りにいく習慣が根付いているので、とりあえずチャレンジしてダメだったらまた次に挑戦する、という新陳代謝の早い進め方に慣れていないなと。

西牟田:クライアントワークだと、正解となるアイデアを決める作業が必ずあります。でも今回に関しては、基本的にみんなのアイデアはどれも正解なんです。だから取捨選択するのではなく、こういう未来もあるし、こういう未来もあるよね、という選択肢を残しながら進めていきました。

西牟田 悠

青木:当初、メンバーの中では年長者だからか、自然と僕や西牟田が資料のまとめ役をしていたけれど、僕ら自身はアイデアの正解・不正解を判断する立場ではありません。一つ一つの芽は大事にしつつ、小さな矢印がバラバラな方向に点在するのではなく、それぞれの方向は多少違っても、引いて見るとゆるやかに同じ方向を向いている。そんな大きな矢印=プロジェクトをつくれたらいいなと。
そこからアイデアの前段となるビジョンステートメントやロゴなどを考えて、役員にも提案し、正式なプロジェクトとして「L!VE ON PROJECT」が誕生しました。

 

<プロジェクトロゴ>

プロジェクト名には“既存の領域に新たな価値をプラスオンしていく”“新たなマインドでビジネス創出に取り組んでいくスイッチを「ON」していく”など、未来に向けた電通ライブの決意が込められています。

 

後編では、プロジェクトを立ち上げたことで社内に生まれた変化、そして今後、プロジェクトを通して実現したい未来について語り合います。

青木 峻(あおき しゅん)

電通ライブ 2020オリンピック・パラリンピックユニット
プランナー/プロデューサー

2007年電通テック入社。国内外の大型展示会やPRイベント、プロモーション・ブランディングイベントなど、幅広くイベント/スペース領域のプロデュースに携わる。2015年のミラノ万博、2016年のリオオリンピック・パラリンピックなど、国際的な超大型イベントも経験。テクノロジーを掛け合わせた体験やパフォーマンスの企画・制作を得意分野とし、電通ライブ発足後は、クライアント直案件や来場者参加型の展覧会の企画プロデュースなど、既存の枠組みや領域にとらわれない活動に積極的に取り組んでいる。

西牟田 悠(にしむた ゆう)

電通ライブ クリエーティブユニット
プランナー

2009年電通入社。イベント/スペースデザイン領域で、プランニング・プロデュース業務に携わる。2017年から電通ライブへ。大型展示会やプライベートショー、プロモーションイベント、施設・ショップのプロデュースなど、国内外の実績多数。さまざまな領域のパートナーとコラボレーションし、新しい表現に挑戦している。

山本 毬奈(やまもと まりな)

電通ライブ プロデュースユニット
プロデューサー

2011年電通テック入社。印刷販促物・ウェブなどのプロモーションに携わった後、イベント/スペース領域のプロデュースに転向。大型展示会の主催事務局や、プライベート展の他、化粧品クライアントのポップアップイベントやPR発表会の企画制作などを手掛ける。1児の母。「作る人も参加する人も、感動するイベントづくり」がモットー。